8速シフターで7速リアディレーラーを引ける理由
ネット上では8速シフターで7速コンポを使っている方がいるようで、どういう仕組みでなぜ使えるのかを調べてみました。
公開日: 2020.12.22
本来はコンポーネントの組み合わせは、メーカーの互換に合わせて使うべきです。本記事はメーカー互換外の使い方を推奨するためではなく、仕組みを理解するための記事ですのでご了承ください。
STIレバーなどのシフターの動き
リアの変速を決めるのはシフトレバーの引き量で、リアディレイラー自体はシフターの引き幅に従って場所を移動しているにすぎないそうです。その意味で、8速向けのクラリスSTIレバーで、9速向けのSORAリアディレーラーを引くことも可能なんだとか。
自分は、STIレバーのシフトの仕組みは「リアディレーラーのハイ・ロー間の総移動量を変速数で割った分だけ移動する」と思っていたのですがどうも違うようで、「STIレバーが1つギアを変更する際に移動する幅は、対応スプロケットの歯の間隔で固定されている」というのが正解のようです。
つまり、リアディレーラーの調整ボルトでリアディレーラーの移動幅を7速スプロケットの幅にしてしまえば、ハイとローのどちらかでリアディレーラーの移動域がマックスに到達してしまい、それ以上シフトチェンジをしても、リアディレーラーは移動しないということのようです。
イメージとしては、
スタート | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
STIの位置 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
RDの位置 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7(MAX) | 7(MAX) |
という感じで、シフトを6回押した段階で、リアディレーラーの移動域がMAXになってしまいっているので、シフトを7回してもRDは7速以上は移動が出来ないため、実質8速シフターが使えるということらしいです。いわば調整不備状態をあえて作り出すということですね。
この理屈が通る理由はスプロケットのピッチ幅
これは7速スプロケットと8速スプロケットのピッチ幅が近いから出来る芸当だそうです。
7速スプロケットはピッチ幅(= シフターがリアディレーラーを1回で動かす幅)が5.0㎜、8速は4.8mmと0.2mmしか変わらないため、チェーンを擦ることはあっても使えなくはないということだとか。
なお、10速の場合はピッチ幅は2.95mm、11速の場合はピッチ幅は2.78mだそうで、8速シフターで10速や11速のスプロケットを使おうとすると「移動しすぎてしまう」ことになります。逆に、11速向けのシフターで8速のスプロケットを使おうとすると、今度は「移動が少なすぎる」ことで、上手く噛み合いわないということになるようです。
当然ですが、メーカーサポート外です
なぜ8速シフターで7速リアディレーラーを引けるかの理屈は理解できましたが、当然ですがメーカーサポート外の使い方なので、あくまで自己責任で実践することになることを理解しておく必要があります。
最悪チェーンやリアディレーラーの故障を招く結果になるかもしれないので、そこは理解しておいてください。
今回、8速シフターで7速リアディレーラーを引ける理由を調べたのは、DOPPELGANGER TARANIS D40-BKのリア変速調整が上手く行かなかったことがスタートでした。
何回調整しても、リセットしても、ローからハイへは綺麗に行くのですが、ハイからローへ行く時に7速から6速が移動しない。
現象としては、7->7->6->5->4->3と1個少ない段数で移動して最後に1速で帳尻を合わせる感じになってしまいます。最後に1速にしっかり入ることと、シフトアップ時には上手くいっていることから、右STIレバーかリアディレイラーのどちらかがおかしい気がしています。
よくよく見ると、右STIレバーが若干歪んで空白が出来てしまっていて、最初のシフトダウン時に1速ダウンと2速ダウンの境目がほぼない感じになっています。
ということで、とりあえずSTIレバーを探していたのですが、ターニーのSTIレバーを買うのもなので、せっかくだからアップグレードしようかと調べていたら、クラリス向けのSTIレバーで「7速でもクリアランスを設定すれば使える」という文言を発見して調べてみたのでした。
この「クリアランス」というのが、要はリアディレーラーの限界を早めにするということのようですね。
実際にできるかは、8速向けのSTIレバーを入手したら、実践して見ようと思います。ただ、テストをしたら固定運用はせずそのまま8速化する予定です。